収集癖は社会的孤立の兆候である(ホーディング、異常収集癖)

ホーディングとは

処分の困難さだけでなく,モノを自宅内外にためこみ続け(hoarding),積み重ねて部屋中モノで溢れ返っている乱雑な状態(clutter)は,「ゴミ屋敷」として報道されている。

このような現象をホーディングと呼び、日本ではため込み症とも呼ばれる。

  1. 個別および家族の脆弱性

  2. 情報処理プロセスの問題

  3. 所有物に対する意味づけや考え,信念,愛着

  4. 感情的反応

  5. 学習プロセス

ホーディングは21 歳までの発症が 68.1 パーセントを占めるとも言われている。

社会からの隔絶が起きると何が起きるのか

ホーマー・コリアーとラングリー・コリアーは、20世紀初頭のアメリカの兄弟で、隠遁生活を送り、買いだめを行っていた。

彼らは裕福な家族に生まれ、ニューヨークのハーレムにある家で暮らしていた。

兄弟は一般的な社会生活を避け、犯罪が増加する中でますます家に閉じこもるようになった。

ラングリーは、兄弟が家に引きこもる中で、異常な行動を取り始め、家に大量のジャンクを溜め込んだ。

兄弟は1942年に住宅ローンの支払いを拒否し、家は銀行に差し押さえられる危機に直面した。

1947年、ホーマーの死体が家の中で発見され、その後、ラングリーの死体も見つかった。ラングリーは、自分の設置したブービートラップによって死亡した。

家からは大量のジャンクが撤去され、その価値はかなり高かったが、最終的に家は取り壊された。

20世紀初頭のアメリカで起こったCollyer兄弟の事件は、社会心理学や家族関係に関する多くの教訓を提供しています。

彼らの異常な生活と最期の悲劇から、私たちは孤立、過剰な収集癖、そして家族との絆の重要性について学ぶことができます。

まず、Collyer兄弟の事件は、過度の社会的な孤立が個人の心身の健康に及ぼす影響を示唆しています。

彼らは犯罪が増加する地域に住んでおり、外部の世界との関わりを避けるために家に閉じこもりました。

しかしこの孤立は、彼らの精神的な不安と恐れを増大させ、最終的には彼らの命を脅かす結果につながりました。

このことから、社会的なつながりや支援が、心理的な安定や幸福感を維持する上で重要 であることが示唆されます。

また、兄弟の 異常な収集癖は、心理的な問題や社会的孤立の兆候である可能性があります。

特に、ラングリーが家に大量のジャンクを溜め込み、それが彼らの生活を支配するまでになったことは、彼の収集癖が彼自身や兄弟にとって危険であることを示しています。

収集癖やホーディング行動は、適切な支援や治療を受けることによって、問題を解決する手段が存在します。

さらに、自己防衛の過度な行動がトラブルを招く可能性も考えられます。

兄弟が家にブービートラップを設置するなどの行動は、外部の危険から身を守ろうとする自己防衛の一形態と見なすことができますが、最終的には彼ら自身に危険を引き起こす結果になりました。適切なリスク管理や安全対策を考慮しながら、自己防衛の行動を適切に制御することが重要です。

最後に、家族や地域社会との連携の重要性も強調されます。Collyer兄弟の事件は、家族との関係が弱まることが個人の安全や幸福に影響を与える可能性を示しています。家族や地域社会からの支援や連帯は、孤立や隠遁から抜け出し、個人の安全と幸福を支える上で不可欠です。

Collyer兄弟の事件から学ぶべき教訓は多岐にわたりますが、それらは社会心理学や家族関係に関する重要な示唆を提供しています。過度の孤立や収集癖、自己防衛の過度な行動には注意が必要であり、家族や地域社会との良好な関係が個人の安全と幸福に重要な役割を果たすことを忘れてはなりません。

from https://psych.or.jp/wp-content/uploads/old/66-5-8.pdf

この事件からわかる4つの心理作用

  • 隠遁と社会的孤立の欲求: 兄弟が家に引きこもり、社会的な交流を避けることで、彼らが隠遁と社会的孤立を求めていた可能性があります。これは、外部の世界との関わりを避け、自分たちの世界を構築しようとする欲求から生じるものですが、

  • 恐怖と不安: 兄弟が犯罪が増加する地域に住んでいたことから、恐怖と不安が彼らの行動に影響を与えた可能性があります。家にブービートラップを設置するなどの行動は、外部の危険から身を守ろうとする自己防衛の一形態と見なすことができます。

  • 収集癖やホーディング: ラングリーが家に大量のジャンクを溜め込み、それが兄弟の生活を支配するまでになったことから、収集癖やホーディングの心理作用が働いていた可能性があります。彼の行動は、物を所有することに対する異常な執着や安全感の欠如から生じた可能性があります。

  • 兄弟間の依存関係: 兄弟が相互に依存し、特にホーマーが盲目になった後は、彼らの関係がさらに強化された可能性があります。この依存関係は、兄弟が外部の世界から孤立し、家族や社会との関係を切り離して生活する要因となったかもしれません。

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